・ロボロ質屋にある書籍『２１世紀の神との出会いを我々はどのように考えるか』、『外交青書』
「高度化した社会は通称「神」の存在まで到達した。」
「神の存在は個人としての生き方が問われるミクロ的な問いから、国家アイデンティティの問題に到達し、現在の国際情勢緊迫化の主要な要因となっている。」
→国家のアイデンティティの問題とは「神の下で最適に生きることができれば、利害関係を調整する国家及び集団は存在する必要性がなくなるのではないか？」ということ。国家を頑なに守り、神を拒否するか（世俗派）、もしくは神を受け入れるか（神聖派）という問いが国際情勢の緊張を生んでいる。

「〜いわゆる世俗派先進国は、それ（神）へのアクセス制限を主張し、一部はサイバー空間において攻撃を行った模様である。」
→神はサイバー空間からアクセスできる存在である。電脳的存在なのか単一の存在なのかネットワーク的存在なのかは不明。

「多くの民主主義議会では、神への服従が議決されており、国家が神とともに歴史を刻むことは民意に沿っていると言えるが、同時にこれは国民個人個人のアイデンティティと相矛盾する場合があり、確かに民主主義的権力により強制力を用いていいかは議論の余地があるだろう。」
→民主主義議会が神への服従を決定することは民意にかなっている。だが、あくまで多数決による投票であり、それを望まない国民もいる。とどのつまり、個人の自由意志を尊重する考えに反する場合もあるため、あくまで民主主義的権力であってもすべての国民にそれを強制するべきでないという意見もあるということ。

・ロボロ質屋にあるPC
「如何に神の意志を素早く個人に伝達できるか、これが今後の課題になってくると思います。」
→神の意志により人間が最適解に則った行動を取れるようになるので、神の意志をいかに素早く伝達できるかというのは大きな課題である。

・核シェルター内電話
「…こちら「たかお」…市ヶ谷地区…。
カリフォルニアより…神…搬入…。
中央指揮所より…攻撃衛星…リンク…。」
→「たかお」は恐らく艦名。太平洋戦争時同名の巡洋艦が存在した。
市ヶ谷地区とは防衛省など防衛関連の国家機関施設が集中する地区。中央指揮所はその地下にある自衛隊の最高司令部である。
「たかお」によりカルフォルニアから「神」もしくは神に関連する何らかのものが輸送された。そして攻撃衛星が攻撃態勢を整えた。
神聖派としては米軍シャイアン基地やスヴァールバル世界種子貯蔵庫などの場所もあるというのに、国土が狭く最前線にある日本に輸送されるのはまったくもって謎である。

「神」の項よりお分かりいただけるだろうが、いわゆる民主主義国家は民意のもと神を受け入れる"神聖派"につき、民主主義国家でない（非民主主義的傾向を示す）国家は神を拒否する"世俗派"についた。

・ロボロ質屋にある書籍
「〜いわゆる世俗派先進国は、それ（神）へのアクセス制限を主張し、一部はサイバー空間において攻撃を行った模様である。神聖派諸国は、自由貿易の観点から、これを非難している。」
→世俗派先進国は「神」への攻撃をサイバー空間において行った。世俗派は「神」へのアクセスへ制限をかけることを求め、神聖派はこれを否定している。

・ロボロ質屋での放送
「ベラルーシに侵入した民族メンシェヴィキ政権軍は攻撃衛星と連携しながら作戦を実施し、ワルシャワ前面まで進出しているようです。
…北大西洋条約機構事務総長は発表で…
また、カリーニングラードに突入したNATO軍は攻撃を阻止され、モンツァでは親ロ派が大聖堂を包囲し…」
→ベラルーシはロシアとポーランドに挟まれた国。民族メンシェヴィキ政権軍（ロシア連邦軍でもソ連軍でもない）はベラルーシをすでに突破し、ポーランドの首都ワルシャワ前面まで到達した模様。ＮＡＴＯ軍によるカリーニングラード（ポーランドとリトアニアに囲まれたロシアの飛び地、北海に面する）への攻撃は失敗に終わり、イタリアの都市モンツァでは親ロ派が暴徒化しているとみられる。

「「世俗派である民族メンシェヴィキ政権は西側諸国全体に対し以下のような声明を発表。悲観主義者の実施する計画の発動を阻止すべく、国民は立ち上がるべきだ。」これは世俗派による暴動によって治安が悪化する米国の…。」
→神聖派は何らかの計画を実行中であり、世俗派はその阻止を目的として攻勢に出たと見られる。神聖派の米国では恐らく非キリスト教徒の世俗派が暴徒化し、治安が悪化している。

「…が侵入した台湾では、大陸側支持者と独立支持者との間で戦闘が行われ、事実上の内戦状態に陥っています。
米軍が出動するもデモ隊に阻まれ…
さらに朝鮮半島では朝鮮人民軍が戦線後方の戦力を前方に…」
→台湾は大陸（中国）支持者と独立支持者による内戦状態に突入した。介入に乗り出した米軍はデモ隊、つまり一般市民に阻まれ作戦行動を断念した模様。
朝鮮半島も戦争状態に陥り、戦線後方の部隊が前方に投入されるなど大規模な作戦展開が行われている。

「労働中央軍事委員会は日本政府に対して米国に対する援助を停止するよう要求。拒否すれば、あらゆる核攻撃を実施すると通告しており日本政府はその対応に迫られて…
解放軍は露の攻撃衛星の支援を受け米第七艦隊を…」
→日米安保に基づいて日本は米国への援助を行っていると見られ、世俗派の中国は神聖派である米国への援助を止めるか、核戦争かと恫喝している。労働中央軍事委員会と解放軍はどちらも中国の組織。露の攻撃衛星は民族メンシェヴィキ政権軍ではなくロシア連邦などの組織なのだろうか？

・ロボロ質屋のテレビ
「朝鮮半島で地震波が計測されました！専門家によると核爆発によって発生する地震波に非常に酷似しているとの…繰り返します！
朝鮮半島で核兵器により発生したと思われる地震波を観測しました！
もし…ならば…第二次世界大戦以来初…」
→戦争状態にあった朝鮮半島で核が使用された模様。発射した組織は不明。

「米欧州軍は、ワルシャワ近郊に於いて戦術核兵器を使用したと発生しました。〜」
→ＮＡＴＯ軍劣勢が続く東欧方面で米軍が戦術核の使用に踏み切る。先の朝鮮半島での発射への報復か、それとも第二弾かは不明。


・ロボロ質屋のテレビ（着弾後）
「これは戦時放送です。
我が国は現在核攻撃を受けています。
敵国飛翔体に対し破壊措置を実行しましたが、いくつかは我が国に着弾しました。
今後数時間以内により大規模な攻撃が行われると…。」
→前述の警告の通り、中国人民解放軍が核攻撃を行ったと見られる。迎撃態勢が取られたものの、幾つかは国土に着弾。都心近くにも一発が落下した模様。同じ放送にてＢＢＣの非常事態放送をもとにした非常事態放送が流れている。

・役人
「官邸は大混乱らしい。米国様があのザマだったらそうだろうな。このまま世俗派の意志は尊重されないのかね。禁じられていたものとはいえ、一度得たものは返したくないよな。」
→日本国内にも世俗派はいるようだが、諸外国の様に暴徒化はしていない様子。禁じられていたものとは、「知恵の実」＝科学だろうか？

コネシマによると、コネシマと大先生はコールドスリープにより千年以上タイムスリップしたらしい（千年という確証はない）。
その他の登場人物、例えばオスマンがどのようにしてこの時代にいるのか、そもそも核戦争以前と同一人物なのかは不明。

高度な科学技術を保有する国家。周辺への侵攻を繰り返している。核戦争以前・中の国家組織か研究機関なのか、はたまた核戦争後の組織なのかは謎。最終目的すら不明。コミック版では議会なような場所と通信するグルッペン氏？の様子が描かれており、オプロイテらが言及する"ゾチ皇帝"はコミック版でもまだ登場していない（尚歴史上王がいない王国もある）。法を重視する一方、それを履行する能力に不足があるなどと会話するシーンがあり、核戦争以前の法概念などを持つことから、核戦争以前の思想を継承または復活して持っているのは間違いないと見られる。
なお、ゾチとはＷＷ２以前のドイツにて社会主義者および社会民主党員への蔑称として使われた語。ゾム+ナチの可能性も捨てきれないが、それではイデオロギー的には真逆である。

教会が信奉する神。再び未発見となっており、教会は聖櫃を介して神と交信しているらしい。オプロイテ曰く皆の心のなかにあるとのこと。
単に未発見といっても再び隠れたのか、「神殺し」が成功したなど沢山の可能性がある。

かつて教皇がいた宗教国家。今ではゾチ帝国により占領され、ザックームという植物兵器をコネシマ王国領内へと拡散している。
教皇以下枢機卿の大半がこの侵攻時に虐殺され、枢機卿で残ったのはオスマン枢機卿のみ。なお、教皇はしきたりにより"人類最強の騎士"オプロイテですら布越しで、直接見たことがない（故に一部ではロボット説も）。

コネシマが王である王国。肥沃な土壌を抱え、世界でも有数の穀倉地帯らしい。今ではゾチ帝国の侵攻により農村は荒れ果てている。ゾチ帝国に対応できる兵力がいないために教会を利用して国土保全を図っている。

ゾチ帝国の植物兵器。胞子により拡散し、成長と共に周辺を腐らせる。周囲の魔力を吸収し、また吐き出すらしい。オプロイテ曰く別の生態系の生物。教会国家で研究されていた種らしい。
名前の由来はイスラム教の地獄に生える木であり、その悪魔の頭のような苦い実は罪人の食料とされている。
血管のようなものやタコ足のような亜種もある。

神を信仰する教会組織。枢機卿、法王などの語からカトリック系と見られる。各地に拠点を有し、教会国家亡き今周辺最大の拠点がコネシマ王国王都教会だという。オプロイテを筆頭に奇跡を扱う教会騎士を有し、コネシマ王国を超える戦力を保有する。聖櫃と呼ばれる箱を大切に守っている。核戦争以前より存在するが多くの資料がなくなっているために過去のことはあまりわかっていない。
旧世界の科学を忌み嫌い、自己中心的な精神も合わせて"科学至上主義"と呼称して非難している。しかし、ザックームのように何故神がこのようなものを作ったのかという問を見つけるために研究されるものもあり、教会自身が産業革命と同じ道を歩むことに対し、大先生は皮肉をぶつけている。
教会権力は世俗権力及び科学技術を統制下に置こうとしているため、多少の軋轢はあるようだ。

現実の語ではキリスト教、ユダヤ教において大切な箱を指す。聖職者や聖者の棺、約束の箱、聖典を入れる箱など様々な箱がこう呼ばれる。最近、オスマン枢機卿が発見したらしい。
中から神の声がするらしく、教会はこれを指標に行動している。
コネシマ曰く大量のエネルギーを持っており、科学兵器およびその周辺機器の起動に使える可能性があるとのこと。
核戦争以前にＡＩ科学者であったオスマンの管理下にあり、何らかの行動指針を示すことから、核戦争以前の"神"との関連性が疑われる。
オプロイテにはその声が聞こえるが大先生、ロボロには聞こえないようで何が違うのかはわからない。
ロボロは聖櫃を巡る旅をしているらしい。漫画版によると、残りはレーテと旧教皇領にあるらしい。

オプロイテやレノなど一部の人間が扱える魔法のようなもの。その多くは教会に属しており、レノのようなフリーは基本的にあり得ないらしい。
オプロイテ曰く、科学でも魔法でも錬金術でもなく、神が我々に授けた力らしい。

旧世界の人類文明が作り出した科学。科学技術の復活は禁止されており（ヒトラン世界条約）、復活やそれを示唆する言動は教会からの非難の対象になる。
コネシマ王国では極秘に保有しており、野戦砲の実戦使用は今にも可能。
科学技術の多くは旧人類が残した地下都市にあるらしく、地下を掘れば科学技術が手に入る。

巨大な地下都市を建設し、存続を図っていたものの何らかの理由でコネシマ王国地下の旧人類はいなくなってしまったらしい。今では大半が崩壊したために地下都市が巨大なネットワークを形成していたかは不明。

旧人類が使用していたナノマシン。体内に注入し、スマートフォンの様な社会インフラとして使用するほど身近だったようである。他に機能があるかは不明。

核戦争以前の放送に度々登場する軍事兵器。コネシマ王国の地下遺跡のナノ（メートル）マシンにリンクされている。超高信頼性代替核弾頭を搭載しており、今でも理論上動く（らしい）。その名も攻撃衛星フェリックス・ジェリジンスキー。由来はソ連邦の政治家。秘密警察初代長官であり、数々の異名を持つ。
幕間のグルッペンのような影が"レゲンダ２"と呟いているが、レゲンダ（«Легенда»/伝説の意）とはソ連邦が開発したＣ４Ｉシステム（軍隊における情報伝達システム）のこと。レーダー衛星と光学偵察衛星による全海洋監視システムであり、当時の西側を驚かせた。このレゲンダ２が武器管制まで及ぶものか偵察衛星群に留まっているのかは不明。また、「ネットの無秩序が軍事ネットワークとの接続を可能にした。」とも言っている。
→ネットが何らかの影響で無秩序化し、軍事ネットワーク（レゲンダ２のことか？）へ一般人でもアクセスできるようになってしまった。故にネットに接続しただけの地下遺跡のマシンでも攻撃命令が理論上可能。

コネシマ王国王都西方にある都市。テキストのみでの登場。漫画版2章の舞台。

コネシマ王国王都北方にある都市。テキストのみでの登場。周辺にモンスターが多数出現しているらしい。漫画版3章の舞台。

コネシマ王国で押収されていた麻薬。

異世界の固有名詞には、史実にルーツをもつ単語が多い。今回は単語元が多いドイツ史を年表形式で抜き出し、固有名詞を探してみる。

19世紀末、帝政ドイツ下でヴィルヘルム２世即位（1888）軍拡と帝国主義の時代へ。帝国主義に抗う動きとして社会主義運動が台頭。
　　・ラッサール：ドイツ社会主義運動、全ドイツ労働者同盟の創始者（SPDの母体）。
　　・ベーベル：マルクス主義運動、共同創始者。第一、第二インターにも参加。

1875　 ドイツ社会主義労働者党成立。
　　 　↓78年、ビスマルクが社会主義者鎮圧法を制定するも、
　　 　↓90年、ヴィルヘルム２世統治下で廃止になる。（それだけ支持をのばす）
1912 　社会民主党（SPD）が帝国議会第一党に。
（1914〜1918 WW!）長期の総力戦で疲弊。
1918 11月　キール軍港の水平反乱。
　　　　　　⇒海軍司令部「もう一度イギリスと艦隊決戦する」
　　　　　　　一般兵がブチギレ、水平評議会をおき、キール市内を支配下に置いた。

　　　　　　ミュンヘンなどドイツ諸都市に広がる。
　　　　　　・地方の兵士→兵士評議会
　　　　　　・工場→労働者評議会
　　　　　　
　　　　　　これらを労兵評議会レイテという。
　　　　　　　　　　↓　　⇒北の大地の名前
　　　　　　　　　　↓推進
　　　　　　　　　　↓
　　　　　　　　　ドイツ革命

1918 11/9　ヴィルヘルム２世退位、帝政の崩壊
　　　　 　共和国の成立　首相：エーベルト（SPD）
　　 　　　しかし、SPD上では改良主義に基いた議会中心のものである......。

（1919 1 ）旧SPDの左派による革命集団、スパルタクス団、ドイツ共産党（KPD)と改称し、武装蜂起。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・カール＝リープクネヒト
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・ローザール＝ルクセンブルク
　　　　　 ⇒首相と軍部の協定において革命弾圧（エーベルト＝グレーナー協定）
　　　　　（スパルタクス＝コネシマ王国青年将校の名）

　　　　 SPD（ドイツ社会民主党）Sozialdemokratiche Partei Deutschlands　と表記。
　　 　　　社会主義者（Sozialist) 党を短縮してSozi（ゾチ）と呼ばれた。

　　　　 　他にもドイツ革命を進めた左派グループ
　　　　　 ☆「革命的オプロイテ」
　　　　　　　　　　⇒教会の女騎士の名
　　　　　　 　オプロイテの中の左派集団。工場代表者から成る。
　　　　　　 「ブレーメン左派」
　　　　　　　代表者はレーニンに指導を受けたらしい。

　今回は考察というよりは、既出の単語についての歴史的背景を探り、理解を深めることに軸を置き、ドイツ史を部分的に取り出してまとめるに留まった。異世界の考察としては不足が多いが、これをもとにプレイや考察、世界観への理解が更に進むことを期待している。
　また、間違った記述やここにはまとめられていない単語、誤字等あれば筆者までご連絡いただけると有り難いです。ここまで読んでくださってありがとうございます。

・ＲＰＧ「異世界の主役は我々だ！」
・山川出版社『詳細世界史Ｂ』
・マクニール『世界史　下』
・ハワード『ヨーロッパ史における戦争』